今回は投資の王道を知る事ができる本を紹介します。
それはチャールズ・エリス著の「敗者のゲーム」です。
・投資初心者の方
・インデックス投資が気になる方
・投資の方針に迷っている方
それではまず本書の要点です。
ざっくり厳選すると以下の2点!
- 「自分だけの」投資の目的を「自分で」決めて生涯貫け!
- 投資の方法は「長期・世界分散・株式・積立・インデックス」
本書ではいろんな視点・エビデンスから理由を説明しています。
その上で上記の主張を何度も繰り返しています。
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敗者のゲームとは?
私はまずこの本の題名が気になりました。
本書では「プロと一般人のテニスの試合」を例にして解説しています。
勝者のゲームと敗者のゲームの違い
勝者のゲーム |
敗者のゲーム |
---|---|
試合の決まり方 | |
行動によって得点を勝ち取る 例)素晴らしいショットを決める |
ミスによって得点を失う 例)ボールがネットにかかる |
研究結果 | |
得点の80%は勝者が起こした行動によって決まる | 得点の80%は敗者が起こした行動によって決まる |
敗者のゲームの勝ち方は「ミスをできるだけ少なくすること」
投資の場合はどうか?
現在の投資環境は「敗者のゲーム」と述べられています。
それは現在の市場が「優秀な機関投資家(プロ)」で95%を占めているからです。

「プロを出し抜いて勝ち続ける事」はプロでも難しいです。
そのため競争相手よりミスをしない事でしか生き残れなくなっています。
例えば
-
STEP1他の機関投資家(プロ)が株を売却します
-
STEP2実際は後で株価が上がるというミスであった
-
STEP3いち早く「ミス」に気づき他のプロよりも早くその株を購入する。
競争相手よりミスをしない事でしか勝てないため「敗者のゲーム」

市場平均を下回るとミスになります。
ということは市場平均を取り続ければ負ける事はありません。
インデックス投資:日経平均やS&P500のような株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資方法
<例>日経平均が5%上昇すると自分の資産も5%上昇する
「自分だけの」投資の目的を「自分で」決めて生涯貫く
投資で成功するには自らの運用目的を決め、一貫して忍耐強く実行すること
例えば値上がりした資産を買い、値下がりしたものを売るという失敗を起こさないためです。
①自分だけの投資の目的を決める
己自身を知ることから投資は始まります。
・いくら資産があるか
・子供の教育費・老後資金はいつまでにどれくらいかかりそうか
・株価の下落にどこまで耐えられるか
(本書には他の要因も詳しく書かれています。)
上記のことは人それぞれ違います。
何のために投資をするのかを考えるのが大切です。
ゴールが決まらないとどう進んでいけば良いかわからないからです。
②長期的な資産配分を決める
資産配分戦略に集中する
本書では「銘柄選択」ではなく「資産配分戦略」に集中するよう忠告しています。
なぜなら投資リターンの90%以上は資産配分からもたらされているからです。
銘柄選択やマーケットタイミングの効果は副次的なものであるという研究結果から証明されています。
そんな方のために、本書では資産配分について簡単なルールを提案しています。
①10年以上運用する資産はすべて株式に投資する
②2・3年以内の運用資産は「現金」「債権」に投資する
自分のリスク許容度を知る
株価が下がっても売らずに耐えられる範囲
これも人によって異なります
投資家は自分のリスク許容度を高く見積もりがちです。
これを越えた投資の運用をしてしまうと、暴落時に自分が信じた資産を売るという誤った行動に陥ってしまします。
③決めた投資方針を生涯貫く
自分の投資方針・内容が決まれば、何が起こってもグッと我慢しひたすら持ち続けることが大切です。
本書では「Mr.マーケット」という登場人物を用いて説明しています。
面白いキャラクター。
いたずら好き。
収益や配当、インフレ、政策変更などで予想外の短期的な価格変動を起こす。
とにかく投資家の気を引こうとし、売り買いをささやく。
これを相手にせず自分の投資方針を貫く事が、長期のリターンにおいて重要です。
投資の方法は長期・株式・世界分散・積立・インデックス」
長期
長期投資はリターンが予測できる
長期投資であればある程度予測し運用できます。
なぜなら「平均への回帰」が働くからです。
現在の状況が平均から離れていればいるほど、平均へと戻る力が強く働く事
例えばサイコロを10回転がすと「1」が5回出ることもある。
でも1万回転がすと「1」が出る確率はほぼ1/6になる。

この表は米国での株式(≒S&P500)、長期債権、短期債権の保有期間に対するインフレ調整後のリターンの範囲です。
(1802年から1997年の約200年間・配当再投資)

グラフにするとこちらです。
長期になる程リターンの幅は狭まってきています。
そのため長期的な株価水準を大まかに予測することは難しくない事がわかります。
しかし、数ヶ月先の株価水準を予想することは極めて難しいです。
株式
長期で見るとリターンが最大

短期的にはマイナスになることもありますが、長期で見ると右肩上がりで上昇しています。

また先程の図からは、株式であれば20年以上運用すると「リターンがマイナスになることは200年の間なかった」事がわかります。
インフレに対応できる
本書ではインフレの恐ろしさを伝えています。
一般的に許容範囲とされている年利2%のインフレが続けば、資産は36年で半減するからです。
インフレ率(%) | 資産を半減させる年数(年) |
2 | 36 |
3 | 24 |
4 | 18 |
5 | 14 |
6 | 12 |
7 | 11 |
特に老後の収入の減少期と重なると厳しいです。
本書ではインフレ調整後の超長期平均年間収益率をほぼ次のようにみています。
したがって、これらの資産であればインフレに対応できます。
世界分散
本書では「国際的にも最大限分散された最小コストのファンドに投資せよ」と述べています。
なぜなら分散投資は収益の向上に繋がるからです。
そのため、一定リスクでリターンを最大化、あるいは一定リターンの下でリスクを最小化するためには世界分散投資が必要と述べられています。
積立
相場のタイミングに賭ける投資は間違っている
本書では「相場のタイミングに賭ける投資は間違っている」と述べています。
なぜならS&P500において過去109年間(3万9812日)で、ベスト10日を逃しただけでこの間の利益の3分の2を失うからです。

そのベストのタイミングを図ることは不可能です。
したがってタイミングを考えるのではなく、定期的な積立が必要というわけです。
インデックス
インデックスファンドとアクティブファンドの違い
インデックスファンド |
アクティブファンド |
---|---|
主な違い | |
市場平均である指数と連動するように作られたファンド |
市場平均を上回ることを目指すように作られたファンド |
具体例 | |
日経平均株価連動型ファンド ニッセイ日経平均インデックスファンド |
日本株アクティブファンド ひふみ投信 |
コスト(引用報酬と管理費用)の比較 | |
年率で0.1% | 年率で1〜2% |
アクティブファンドの殆どがインデックスファンドに勝てない

年間成績では6割の株式ファンドが市場平均を下回ります。
10年では7割、20年では8割の株式ファンドが市場に負けています。
そのため長期で市場平均に勝てるアクティブファンドを見つけることは殆ど不可能と述べられています。
インデックスは投資界のオールスターの平均
現在の市場の売上高の95%が機関投資家(プロ)です。

つまり市場の殆どがプロであり、その平均がインデックスということになります。
インデックス投資のメリット
最後に本書で述べられているインデックス投資のメリットをまとめます。
①運用実績を管理する必要がない
②相場の動向・投資戦略といった判断が不要
③個別銘柄への投資割合が低いため、致命的なミスを犯す心配がない
④運用目的・長期投資方針といった最重要課題にだけ専念できる
まとめ
もう一度本書の要点をまとめます。
- 「自分だけの」投資の目的を「自分で」決めて生涯貫け!
- 投資の方法は「長期・世界分散・株式・積立・インデックス」
個人的に本書を読んで考えさせられた部分
①自分の子供の人生の時間も考えた投資
1人の人生の投資期間は30年〜50年程度です。
しかし、自分の子供の人生も合わせればどうでしょうか。
100年を超える運用になります。
そのような超長期の運用の考え方もあることを知りました。
②社会貢献のため資産を増やす
自分の資産を社会貢献のために増やすという考え方が本書では述べられていました。
自分のような一般庶民には金銭的に難しいと思います。
しかし、本書の中では投資計画を立てる際にこの部分を考慮するべきとありました。
資産家の考え方としてメモしておきたいと思います。
<追記>
「嫌われる勇気」を読んで自分が幸せになる「他者貢献」のために、お金持ちは社会貢献をしていると自分の中で理解しました。
