分散するとリスクを減らす事ができます。
しかし、リスクを0にすることもできません。
そこで今回は効率的なリスクとリターンの割合について考えてみます。
その際に用いられるのが「現代ポートフォリオ理論」です。
ざっくりと現代ポートフォリオ理論を知りたい人
最も効率的なポートフォリオとは?
①リスク資産は市場そのものが最も効率的なポートフォリオ。
②無リスク資産の割合とリスク資産の割合を、投資家の許容できるリスクによって設定する事が、最も効率の良い資産運用となる
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現代ポートフォリオ理論
ハリー・マーコヴィッツ、ジェームス・トービン、ウィリアム・シャープへと現代ポートフォリオ理論は続いています。
効率的市場仮説(市場価格は全ての投資家の知識と期待を反映しているという理論)さえ正しければ、株式市場そのものが最も効率的なポートフォリオというもの
有効フロンティア【ハリー・マーコヴィッツ】
分散によってリターンを上げつつもリスクを下げる事ができる可能性がある
例えばこの図を見てください。

出典:ウォール街のランダム・ウォーカー
S&P500と先進国株式の比較はこちらです。
下記2つの比較 | 平均リターン | 年間変動率(安全性) |
S&P500 | わずかに低い | 高い |
先進国株価指数 | わすかに高い | 低い |
安全度が高いS&P500に先進国株式を混ぜてみます。
少しの間はリスクの高い先進国株式が増えているのにリスクも下がっている事が分かります。
同じリスクなのにリターンが異なる部分があります

リスクとリターンの組み合わせを考えたときに、最も有利な選択肢を組み合わた境界線(赤の線)
2つだけでなく、できるだけ多くの銘柄を組み合わせる事で分散によるリスクの低減効果が得られます。
そのため、世の中にある株式全てに投資をする事が最もリスク低減効果が得られると考える事ができます。

ただ全ての株式に投資をすると、無限の組み合わせがあります。
無リスク資産を組み合わせる【ジェームス・トービン】
ジェームス・トービンは、ハリー・マーコヴィッツの有効フロンティア上の無数の点の一つ(超効率的ポートフォリオ)を特定できると考えました。
トービンの考えをグラフに表すと次のようになります。

投資家は「リスクのある株式」だけでなく「リスクのない債権」にも投資しています。
このリスクのない債権を組み合わせると選ばれる「株式ポートフォリオ」はたった一つだけになります。

この場合は、同じリスクでより高いリターンが得られる点がありますので選ばれません。
超効率ポートフォリオは株式市場そのもの【ウィリアム・シャープ】
ウィリアム・シャープは、超効率的ポートフォリオは株式市場そのものと結論づけました。
「株式の個別銘柄は株式市場全体の動きによって関連づけられる(単一インデックス・モデル」と考えたためです。
無リスク・レートと市場ポートフォリオを結んだ直線(資本市場線)は、無リスク資産とリスク資産で構成されています。
この線上の点は、リスク資産の効率フロンティアのどの点よりも同じリスクであれば高いリターンを得る事ができるのです。

結論
①リスク資産は市場そのものが最も効率的なポートフォリオ
②無リスク資産の割合とリスク資産の割合を、投資家の許容できるリスクによって設定する事が、最も効率の良い資産運用となる
プロの投資家が継続的に「非効率性」を見出せないという意味で十分に「効率的」である
出典:敗者のゲーム